2016年 12月 10日
話を戻して。本編たる裁判シリーズのスピンオフで、成歩堂のライバル兼親友の御剣怜持を主人公とした『逆転検事』。一通りプレイし終えて思ったのは、双方共に本編に勝るとも劣らぬ完成度を誇る作品だったという事。 特に2の完成度の高さには大いに唸らされました。 無論、初代も悪くない出来だった。凄く残念なところもあったけど。 そんな二作それぞれの感想を以下に。 ■逆転検事 事件現場を検証して証拠品を集め、事件に強く関係すると思しき人物と論争する。舞台は法廷では無く(ただ、あるエピソードでは法廷が舞台になる)、やる事も探偵っぽい感じで、プレイし始めた時は検事という題材らしからぬ作りに違和感を覚え、実質、裁判シリーズとほぼ変わらない構成に少し肩透かしを喰らいもしたが、結構楽しかった。特に二つの証拠品を組み合わせ、事件のカラクリを解いていく『ロジック』システムが面白く、裁判シリーズとは異なる推理の楽しさを描けていたように思う。また、そのようなシステムを採用したのに合わせてか、シナリオも霊媒等の非現実的な要素はほとんど取り除かれており、堅実な作りになってたのが好印象だった。一応、『ぬすみちゃん』なるハイテク系のぶっ飛んだギミックがありはしたが。ただ、ホドホドに納得できる設定がされていたので、それほど無理矢理な感じはしなかった。また、実際に御剣を操作して現場検証を行う『捜査パート』も好印象。第三者視点で現場の隅々まで調べるという事で事件の全体像が把握し易く、地形の細かい構造までハッキリと描かれているのには好奇心を刺激させられた。先に触れたけど、法廷が舞台になるエピソードが特に印象的。控室の構造とか廊下など、裁判シリーズでは一部しか描かれない所がハッキリ描かれていたのにはニヤリとしてしまった。あと、裁判長がどう言った形で法廷に入ってくるのかが描かれていたところも。そういう意味でも本当、ファンにはたまらないなと、ファンアイテムとしては完璧な作りになってたと思う。 シナリオに関しても、旧作キャラクターがゲスト出演する演出が多く、ファンを意識した作りになってたのが印象的。しかし、あまりにも旧作キャラに焦点を当て過ぎてて、今作初登場の新キャラクターが空気気味だったのは残念。また、肝心の内容に関してもスケジュール進行があり得ないほど過密、最終話だけ異様に長いと言った気がかりなところも。最終話の長さは、真犯人が全ての元凶なのだけど、幾ら何でもあれは往生際が悪過ぎというか…。あまりにもあの手この手で逃げ切ろうとするので、最終的に「とっとと終わってくれ!」とダレてしまった。その後、真犯人に思わぬキャラクターが止めを刺す展開には爆笑したけど(笑)、結果的にテンポの悪さを生んでしまってたという点で、満足度は全話の中で最下位。変に引き延ばさずまとめて欲しかった。 あと、シナリオに関連する所でもの凄く気になったのがフラッシュエフェクトの多用。裁判シリーズでもここまでやってないぞ、と言わんばかりの頻度でパシパシ点滅するので、目に与える負担が大きくてしんどかった。人によっては体調悪化にも起因するだろうに、そんなものを乱用するとか、完全にアウト。ここに関しては本気でゴーサインを出したスタッフ、判断基準おかし過ぎの一言に尽きる。この手の演出、某有名アニメで起きたあの事件以降、ゲームでも極力控え目にする措置が取られてきていたのに、何を考えて時代に逆行するような事をしたのだろう…。会話テンポのくどさも助長させていたし、ここは本当に致命的な欠点だったと思う。終盤にダレるけど、シナリオ自体は面白かったし、システム周りもシンプルながらも堅実なまとめ具合。グラフィックの質も高く、音楽も名曲揃い、ボリュームも上々と、好感触な感じだったのだけど、手放しに褒められない欠点もあって総評としては佳作止まり。フラッシュエフェクトをもっと控え目にしておいてくれれば、周回プレイもいけたのに…と、演出が足を引っ張ってた新シリーズ一作目でございました。満足度はあったけど、そんな致命的な難点があったのが本当に惜しまれる。 だからこそ、次の2ではその辺が改善されていて欲しいと願ったのは言うまでもない。 ■逆転検事2 そんな初代から流れる形でプレイした続編。…圧倒された。 特にシナリオ。あの最終話の展開は凄過ぎってどころじゃない。 一連の事件を仕組んだ黒幕が明かされた際は、本当にこんな感じでした。 思わず声を挙げたよ…。まさか過ぎる。 というか、三話で残された伏線があんな形で繋がる事自体が想定外も想定外だった。それだけに留まらず、何と1、2、4話の出来事もガッチリと絡んでくるし。中でも一話との絡みには本気で驚いた。こんなにも細部に渡って伏線を張り、最終話で一気に畳み掛けてくる構成と作り込みの深さには感服の一言。シリーズ随一のシナリオと評価されているのにも納得せざるを得ない、素晴らしい出来だった。 同じように伏線を至る所に貼り、最終話で畳み掛けるように回収するシナリオと言えば『逆転裁判3』と、直近の新作である『逆転裁判6』があったけど、それらを遥かに上回る出来だったすら思う。エンディングの締めも素晴らしいし、本当に「良いもの見させて頂きました」の一言。ここまで前作から大化けを果たすとは思いもしなかった。
また、前作では旧作の面々に存在を喰われ過ぎている感のあった新キャラクター達が目立ってたのも良かった。 特に一柳検事は序盤から終盤にかけての印象の大逆転っぷりが素晴らしい。二話で初登場した時は正直、あまりにも素っ頓狂な推理を繰り返すのと上から目線な言動の数々にイラッとし、良い印象を抱けなかったのだけど、まさか終盤にかけてあんな成長を遂げるだけでなく、今後を応援したくなる魅力的なキャラクターへと化けるとは思いもしなかった。如何にもな未熟さ全開のキャラクターで、こういうのを出したのならちゃんと成長を遂げる展開があって欲しい…と思ってたら、あの展開。凄く嫌な感じのするヤツだなと思ったら、ビックリするほど素敵なキャラクターになっちゃって…少しウルっとしてしまった。あの本当に検事を名乗れる人間になった、ある人物に向けたトドメの一撃を決めるシーンは清々しいほどにカッコ良かった。その後、事情によって出番が減ってしまうのが残念ではあったけど、期待以上の展開が見れた事に感無量でございます。 彼は是非、今後の裁判シリーズにもゲストとしての立場でもいいから出てきて欲しいものだな…。あんなに成長後の姿が見たくてたまらないキャラクターというのもなかなか居ない。いつか、その望みが叶う時が訪れるのを祈る! また、ゲーム部分でも前作の致命的な欠点だったフラッシュエフェクトは緩和。目が疲れ易くなると言った事も無くなり、安心して遊べるようになった。システム周りでは『ロジック』に加え、制限時間付きの対決パートとも言える『ロジックチェス』が追加され、エピソード内のイベントの密度がより濃い目に。併せてボリュームも倍増し、裁判シリーズ等と比べても屈指の物量になってたのに圧倒された。特に過去と現在が舞台となる三話はそんなボリュームの倍増が上手く活かされてた感じで、最後の真犯人を追い詰める展開も含めて、時間の重みというものを感じられて印象的だった。 前作同様にファンサービスも満載。初代『逆転裁判』の終盤で登場しつつも、故人という設定故にその人物像がハッキリとしていなかった御剣の父・御剣信、同じく初代『逆転裁判』一話に登場し、分かり易いオチを迎えた山野星雄と言ったキャラクターが色々と登場し、シナリオに華を添える。また、前作で彼らの描写に焦点を当てすぎた反省から、御剣信以外はホドホドの出番に抑えられていて、新キャラクターをしっかり立てる配慮が凝らされてたのも好印象。何箇所か、過去作に登場した舞台もあるけど、それも関連作品を遊んでないと全く分からないなんて事は無く、知っていればニヤリとできる程度に治めていたのも良かった。これは前作もそうだったけど、初めて遊ぶプレイヤーに配慮しているなと、その抑え具合の上手さにセンスを感じさせられた次第です。 その他、グラフィックも前作から僅かながらパワーアップを遂げているほか(特に一枚絵関連)、音楽も今回は熱い曲が揃ってたのが印象的。 逆にボリューム倍増で周回プレイ時とゲームオーバー時の負担が大きくなった、セーブシステムがそれに適さない仕様になっているのが惜しく感じたが。また、『ロジックチェス』も淡白且つ、難易度も低めで練り込みが足りてなかった印象。あの「ここを突け!」と露骨に示すキャラクターのリアクションは改善の余地ありだったように思う…。 けど、総評はまさに傑作。裁判シリーズ全体で見ても三本の指に入る逸品だった。現状、今作を手掛けたスタッフは裁判シリーズを担当してしまっているので、次回作が作られるのか怪しいところがあるけど…先日の6で様々な事に決着が着いたから、次は是非、この検事の続編を作って欲しいな。まだシステム的に発展の余地があるし、ストーリーでも逆転裁判3から逆転裁判4の間に大きな空白があるから、そこに焦点を当てた御剣の活躍というものを見てみたいところです。今こそ、謎に包まれ続けているブランクを埋める時でしょう…。そう直にはいかないかもしれないけど、そんな気になる時系列に焦点を当てた新作が遊べる未来、是非とも来て欲しい。 …という感じで、検事シリーズ二作の感想でした。 次はいよいよ『大逆転裁判』ですな。 というか、年内に確保しておかないとマズいかも…。
by box057
| 2016-12-10 21:10
| ゲーム感想 / 紹介
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