2016年 10月 29日
![]() ![]() 先日、真のエンディングに到達し、トロフィーも全部獲得して完全クリアした。 単刀直入に言う。 今年度屈指の "魂が震える"傑作でございました! ![]() 格闘要素を盛り込んだ探索型アクションゲームの傑作『覆面闘士 マスクド・ウォーリアーズ』を手掛けたカナダの開発会社、Drinkbox Studiosの最新作である今作。覆面闘士を作った所の新作ってだけで相当な関心を抱き、日本語版の配信開始と同時に突撃してみたけど、ここまで場外ホームランな面白さを誇るゲームとは思いもしなかった。 個人的には『テラウェイ はがれた世界の大冒険』に並ぶVita屈指のお気に入りにして、Vita本体を持つ人全てに激烈に推したい作品だ…! ≫Severed(セヴァード)(PlayStation Store:商品&購入ページ) ■スワイプ操作で悪・即・斬!スピード感溢れる3DアクションRPG。 『Severed(セヴァード)』のゲーム内容について記していこう。今作は一人称視点で展開するアクションRPG。とある事件で片腕と家族を失った少女戦士サーシャとなり、その行方を追って怪物が徘徊する奇怪な世界の探索に挑むというものだ。 ![]() パッと見の印象は『ウィザードリィ』シリーズ、『世界樹の迷宮』シリーズに代表される3DダンジョンRPGで、実際に移動の仕組みは同作のものを踏襲。一歩一歩進みながら、フィールドやダンジョンと言ったマップを探索していく。 ![]() ▲目前に見える白黒の炎が敵シンボル。 しかし、全体的にはRPGというよりはアクション寄りなゲームデザイン。例によって、マップを探索していると敵と遭遇し、戦闘が発生するのだが、今作は固定型のシンボルエンカウント方式を採用。歩いていると戦闘が発生するランダムエンカウント方式ではなく、特定の地点ごとに戦闘が発生する仕組みとなっている。また、戦闘に勝利すると敵シンボルは完全消滅し、以後、復活しない。その為、予め用意された戦闘(別の表現で言えばステージ)を順に攻略していく感じで、如何にもアクションゲームっぽい構成になっている。 ![]() 戦闘システムもアクションゲームスタイルで、リアルタイムで敵に攻撃を仕掛けたり、時にその反撃に対処していく。更に今作独自の試みとして、攻撃は全てタッチスクリーンを指でなぞる『スワイプ操作』で実施。指自体をサーシャの武器である剣に見立て、ザクザクと敵に斬撃をかましていくのだ。斬撃はスワイプの加減によって技が変化し、短めだと『スラッシュ』、長めだと『ロングスラッシュ』となる。当然ながら、後者の方が威力が高く、敵に大きなダメージを与えられる。また、素早く何度もスワイプすると連続斬りとなり、敵に継続的なダメージを与える事も可能。目にも止まらぬ速さで剣を振って対象をぶった斬る、漫画やアニメの剣士キャラみたいな立ち回りもできてしまうのである。 ![]() 無論、敵もずっと棒立ちのままではなく、防御態勢を取って斬撃を防いだり、 ![]() 黄色のアクションゲージが満タンにまで溜まると攻撃を仕掛けてくる。 言うまでもないが、まともに受けてしまえばサーシャがダメージを喰らう。 ![]() しかし、攻撃が来るのと反対方向にスワイプして斬撃を行えば、それを弾き返して無効化させる事が可能(※上の画像を見ての通り、右斜め下から来た攻撃に対して右斜め上への斬撃で弾き返している)。上手く対処していけば、ノーダメージでの勝利も狙えるのだ。そんな具合にスワイプ操作で攻撃から防御に至るまで、全方位に対応していく作りとなっており、まさにアクションゲーム全開。そして、タッチスクリーン特有の直感的な操作感を強く推し出した戦闘システムに仕上げられているのである。 ![]() 一応、RPGを公称しているだけあって、成長要素も完備。しかし、これもまた非常に奇抜な作りをしており、敵を倒した際に得られた四肢をリソースにし、各種『スキル』を会得していくというものになっている。 ![]() 四肢は『フォーカスメーター』なる敵を攻撃する度に溜まっていくゲージが満タンに達した際、トドメの一撃を加えると発動する『切断モード』というクイックタイムイベントで手に入れる。やり方は単純で、対象となる敵の四肢をスワイプ操作で斬るだけ。しかし、切断モードは時間制限がある為、それが終わるまでの内に素早く斬らなければならない。この切断モード時に得られた四肢を一定量まで獲得するとスキル習得ができるようになり、サーシャのステータスを強化できるのだ。経験値ではなく、素早い操作で敵の四肢を奪ってプレイヤーの強化を実施する。こう言ったところもまたアクションゲームっぽさ全開且つ、ダークな設定が異彩を放つ仕上がりとなっている。 ![]() また、本編にはダンジョン探索もあり、その道中には謎解きも幾つか登場する。しかし、全体的に複雑なパズルはほとんどなく、大半は閉ざされた道を開放していくものが中心。探索の大半、大体7~8割は敵との戦闘に当てられている感じとなっている。そう言ったアドベンチャー要素を最小限に抑えているのも今作の特色の一つ。何処となく、昔ながらのアクションアドベンチャーを意識した作り込みも成されている。 以上が内容についての大まかなあらまし。見た目はダンジョンRPGだが、実体はアクションRPGで、極端に言えば主観視点で遊ぶ『ゼルダの伝説』な趣の作品になっている。なので、ゲームテンポも見た目とは裏腹にスピーディ。チョイとバラしちゃうけど、エンディングを目指すだけなら長くて7時間程度と、ボリュームもコンパクトなものになっております。 ■「動かすだけでも楽しい」の極致を追求した、爽快感抜群の戦闘システム そんな今作の魅力! ![]() ズヴァリ、スワイプ操作で敵を斬りまくる戦闘だ! Vitaのタッチスクリーンに指を添え、思うがままにスワイプし、目前の敵を斬る! 相手の攻撃方向と逆にスワイプして弾く! 時間内に素早くスワイプして、(己の強化の為に)四肢をもぎ取る! 上下にスワイプしまくって、滅多斬りにする! これがメチャクチャ楽しい。 素晴らしく軽快なレスポンス、質感のある効果音によって演出される確かなヒット感の恩恵もあり、極上の爽快感と高揚感をプレイヤーへと提供するものに完成されている。 攻撃アクションの多彩さも見所。 ![]() ゲーム開始時は『スラッシュ』、『ロングスラッシュ』、そして四肢をもぎ取る『切断モード』ぐらいしかないが、進めていくにつれ、タメ攻撃こと『チャージスラッシュ』、強烈な光を発生させて敵を一定時間行動不能にする『目くらまし』等の技が使えるようになっていき、それぞれを活かす戦術によるバリエーション豊かな立ち回りができるようになる。 ![]() それらの戦術を駆使しながら戦う敵も個性豊か。オーソドックスな打撃を仕掛けてくる者を始め、段階的に成長を遂げて行った末にガス攻撃を集中展開してくるタイプ、一定時間経過した後に大ダメージを与える爆発(破裂?)攻撃を仕掛けてくる者まで、一筋縄ではいかぬ面々が続々と立ちはばかる。そう言った敵の攻撃を如何に防ぎ切り、こちらの被害を最小限に抑えて倒し切れるか?その過程を考えながら行動を実施していくだけでも、時間を忘れてのめり込んでしまう面白さがある。 ![]() 特に複数体の敵を相手にする戦闘はその真骨頂だ。ゲーム開始間もない頃は1対1のタイマン勝負が続くのだが、丁度、それが終わりに差し掛かる頃から1対2以上という数的不利な状況下での戦闘が頻発するようになる。こうなると、戦闘も一層慌ただしいものに。現在、向き合っている敵とは逆方向に居る敵が攻撃のサインを出したら即座に対象を切り替え、はじき返したり、時にこちらが攻撃を加えて沈静化させ、行動させないように抑え込んだりなど、瞬時の判断に次ぐ判断が要求される展開が続くのである。 その慌しさと戦略を練りながら判断を下していくスリル、複数体の敵を連続して殲滅する爽快感たるや、言葉では語り尽せないほど。文字通り、時間を忘れて熱中してしまう戦闘が画面いっぱいに繰り広げられるのだ。 また、固定シンボルエンカウント方式ならではの工夫を凝らした敵の陣形(配置)も秀逸。全体的に登場する敵の配分のバランスが非常に良く、理不尽さを感じさせないまとまり具合となっている。更にプレイヤーの新技習得に応じて敵の陣形にもその技を使った戦いをするよう、プレイヤーに自然と意識させるレベルデザインが完璧に成されているのも特筆に値するところ。それもあって戦闘がパターン化する事も無く、終始、戦略を練る楽しさと緊張感が維持されるのには素直に凄いの一言。おまけに毒ガスが蔓延する部屋、時間制限がかけられた空中など、特殊な環境で戦う場面も用意されており、ちゃんと独自のスリルと戦略の変移を描き切っているのもさすが…というか、そこまでやるのか!と、製作スタッフの凄まじい作り込みっぷりを思い知らされること請け合いだ。 ![]() これに加えて全体的な戦闘バランスも良好という隙の無さ。中でもボス戦はそんなバランスの良さがよく分かる屈指の場面。いずれも素晴らしくトリッキーな攻撃で攻め込んでくる上、理不尽な不意打ちは一切無い(というか、基本的にどの敵も攻撃時には事前動作があるから、対処し易い)ので、確かなやり応えと戦う楽しさを堪能できる。 また、例え戦闘で敗北したとしても、その直前の所から体力を全快した状態でリトライできるのも良心的。セーブもフルオートで行ってくれるので、大きなやり直しの憂き目に遭う心配がないのも素晴らしいところだ。 スワイプ操作で敵を斬る…というアイディア自体、今ではありきたりなものだ。上辺だけ見れば、無理矢理タッチスクリーンを使ったゲームと見て取れるかもしれない。 しかし!その作り込みたるや、実に侮り難きもの! 操作感、戦闘バリエーション、演出面の作り込みの数々には只ならぬ本気を感じると同時に、今作が如何にタッチスクリーンでの操作の楽しさを追求したゲームなのかを思い知らされる仕上がりになっているのだ。実際に最初の戦闘で連続攻撃を敵に展開するだけでも、今作の素晴らしさがよく分かるはずだ。そして、アクションゲームの真骨頂、動かすだけでも楽しいの極致を思い知らされるでしょう…! ■初代『ゼルダの伝説』を意識した作り込みが光る探索要素 マップ探索も良好な仕上がり。何より、変に複雑な謎解きが登場しないので、テンポ良くサクサクと進めていけるのが見事。中にはスイッチ開閉、その仕掛けを利用した別ルートの探索と言った込み入った類のものも用意されているが、いずれも直感的に考えるだけでサラッと解けてしまう難易度。昔ながらのアクションアドベンチャーの楽しさ、特に初代『ゼルダの伝説』を強く意識したバランス取りになっているのには、同作を遊んだ経験のある方ならニヤリとしてしまうこと請け合いだ。 ![]() ゼルダを意識してなのか、こんな『ハートのかけら』のアイテムを探し出す寄り道要素も抑えている。仕組みも一定量集まれば体力の最大ゲージが増えると、ゼルダそのまんま。こう言った所もシリーズ経験者なら変な笑いが浮かんでしまうかも。 ![]() ちなみにゲームが進んで『目くらまし』の技を会得すると、魔力(MP)ゲージが加わるのだが、この最大値を上昇させるアイテムを探す要素も仕込まれている。そして、そのアイテムの名前は…『脳のかけら』である! ……オオウ、なんとグロテスクな。 また、『ハートのかけら』も『脳のかけら』も完成させて最大値を上げるには”ある事”をしなければならない。それもまたちょっとした見所。恐らく、初見の際はあまりに意外な事をするサーシャに対して、ドン引きしてしまうかもしれない…。 ■唯一無二のアートデザインが光るグラフィックと演出、そして謎めいたストーリー グロテスクと言えば、今作、敵の四肢を奪うというシステムからも明らかな通り、出血、暴力、身体欠損描写は普通にある。15歳以上対象なのもあって、ワリと激しめだ。 ![]() しかし、特徴的且つ芸術的なアートデザインの恩恵もあって、生々しさはほとんど感じさせない。むしろ、ほぼエフェクト演出も同然な仕上がりになっているので、美しさすら感じてしまうほどだ。この奇抜なデザインとグラフィックも今作の大きな見所。こういう表現方法もあるのかと、その工夫が凝らされた作り込みには感服させられるかもしれない。 とは言え、感じ方には個人差有り。幾らデザインで生々しさが軽減されているとは言え、人によっては応えるものなのでご用心。また、一部において凄まじくホラーめいたムービー(特に最初のボスとの戦闘前のムービーがきつい)があるのも要注意…かも。 ![]() また、謎めいたストーリーも魅力的。とある事件によって片腕と家族を失った少女サーシャが、奇妙な世界でその行方を追っていく、あらすじだけなら単純な内容なのだが、随所に意味深な描写が多々あり、適度にプレイヤーの想像力を刺激する。 ![]() 各エリアやダンジョンなど、世界観周りも何か設定がありながら詳しく語らない描写が徹底されており、好きな人ならば細部まであれこれ考察したくなってしまう面白さがある。語らない描写が多い作り故に好みが分かれもするが、遊べば間違いなく記憶に刻み込まれる作り。特にエンディングはとても印象的なものになってるので、必見です。 ■スワイプ操作の楽しさを極限まで突き詰めた魂が震える傑作、ここに参上! 他に独特のグラフィックと戦闘を際立てるプログレ全開な音楽、短めながらも十分過ぎる密度を誇るボリュームに意外と頻度の少ないロードなど、特筆すべき魅力は多い。 ![]() また、ローカライズは開発元直々によるもののようで、〇ボタンと×ボタンの設定が逆(〇がキャンセル、×が決定)という御約束な難点があるが、翻訳の質は悪くなく、自然にまとまっている。こういう直々に手掛けたパターンだと余計な所まで翻訳したり、機械翻訳に任せた不自然な日本語が展開されたりするものだが、そういうのがあまり無いのには開発元の日本に向けて出す際の意識の高さみたいなものを感じさせられるところだ。 魅力づくしだけど、欠点もそれなりにある。本編後半からステータス強化が施された敵の陣形が増え始めると同時に偏りが増す、ワープポイントが無いので探索のやり込みは少々手数を踏む事になる、オートセーブ方式なのは便利だが何処までセーブされたかが分かり難い、密度濃い目だけどエンディングまではあっという間であるなど。 また、完全クリアを目指すに当たって一箇所、人間の限界に挑めと言わんばかりの苛烈な難易度の戦闘があるのも引っかかるところだ。何処のプリニーだよ、あれ…。 だが!そんなことなどどうでも良くなってしまうほどにスワイプ操作による斬撃アクションが楽しく、夢中になって遊び込んでしまう強烈な魅力がある。全てをクリアした後も、もう一度、最初から遊んでみたくなるほどにリプレイ性も高い! 何にしても、結論はただ一つだ。 プレイステーションVitaを持っている人なら、これは絶対に遊ぶべし! ![]() 絵的に好みの分かれる所もあるけど、このスワイプ操作だからこそ成し得た高度なゲーム性は一度でも良いから体験してみる価値がある!Vitaのタッチスクリーンはホーム画面でアイコンを決める際の予備デバイス過ぎない、ほとんど空気の存在だとか思っているそこの貴方!今作でタッチスクリーンを主要デバイスとしてフル活用させてみましょうぞ!迷わずいくべし、遊べば分かるさ、その楽しさが!スワイプ操作の爽快感が!左利きのプレイヤーも大丈夫!その辺のサポートも万全でございます! なので、どちらの方々も指が擦り切れるまでやってみるべし! 指が擦り切れるまで! 指が擦り切れるまで! 指が折れるまで!…とは言わんでおきます。 なお、その操作をフル活用する仕様上、画面上には大量の指紋がベッチョリと付着します。遊ぶ際は必ず液晶に保護シートを装着し、クリーニングクロス及び液晶用クリーニングウェットティッシュは常備しておく事を強く、激しくお薦め致します。 ≫Severed(iTunes:商品&購入ページ) また、遊んでみたいけどVitaが無い…という方にも今作、iOS版がある。 Vitaと異なり、物理キー(方向キー及びコントロールスティック)による移動操作ができないという差異があるが、売りの斬撃アクションに関しては全く変わらぬ手応えと爽快感を味わえる…と思う!(※すみません、当方iPhone、iPad未所持の為、確認できず…) もし、iPhone、iPadのいずれかをお持ちの方はそちらでどうぞ! 例によって、Vita版同様にプレイする際は必ず液晶保護シートを装着し、クリーニングクロスと液晶用ウェットティッシュの準備をお忘れなく。また、ゲーム的にはiPhoneより、iPadで遊ぶのがベストかもしれません。 昨年に遊んだ『覆面闘士 マスクド・ウォーリアーズ』に次いで、またも傑作を送り出すとはDrinkbox Studios、実に侮り難し! 今後もこのメーカーからは目が離せない!次の新作が発表される時が楽しみだ! また、思わず時間を忘れて夢中になってしまうゲームを送り出して欲しい。 ![]() そして、この愉快なメーカーロゴに再びお目にかかりたいところです。 覆面闘士の方でも見れるけど、このロゴにあるジュースが飲み干された後、「プハーッ」と声が出る演出がたまらなくイイんですわ…(笑)。起動する度に笑っちゃう。。。 ※2016年12月8日:追記 フライハイワークスより、ニンテンドー3DS版の配信が決定! ただ、一つだけ注意して頂きたい事があるので、購入を考えている方は以下の記事に目を通しておいて欲しいです。 ※2017年1月7日:追記 Vita版、3DS版の特徴と相違点をまとめた記事を掲載。 結論から言って、3DS版も自信を持ってお薦めできる傑作です。
by box057
| 2016-10-29 18:35
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