2016年 08月 13日
2010年の旧作漁りでは、先日のドコモダケDS以外にも、掘り出し物とも言える一品があった。それが『クイックスアドベンチャー』。1981年、タイトーよりアーケードゲームとして発売された陣取りゲーム『クイックス』の新作だ。ゲームボーイには1990年に任天堂より発売された初代『クイックス』が存在する為、今作は事実上の二作目に当たる。発売元はオリジナル版同様にタイトー。また、単なる移植では無く、ストーリー要素を加えた『トレジャーモード』なる新要素も収録されている。 個人的に今作の存在は、発売当時の64ドリームの紹介記事を見た時に知った。また、『クイックス』に関しては昔、本山一城先生の『スーパーマリオランド』四巻を読んだ時に知って興味を抱いたが、以来、全く遊べずにいた作品だったので、そろそろ手を伸ばしてみようと思い、捨て値で売られてた今作を買ってみた。 しかし、これがまた…予想外の内容だった。一言で言うと、バカゲー。マーカーを動かし、陣地を確保していく、地味ながらも中毒性の高いゲームシステムを特色とする『クイックス』だが…あろう事か、今作はそこに病的なネタ要素を注ぎ込んで、カオスな陣取りゲームに仕上げてしまったのである…。 その象徴が新要素の『トレジャーモード』。このモードでプレイヤーは、舞台となる島を占領した魔物達を捕獲する為、彼らとクイックス対決を繰り広げていく事になる。その概略だけなら、ストーリー要素のあるクイックスという感じなんだが…問題はその魔物達。これがまた…酷い。中年で厄年のキメラドラゴン、他所の家の不倫問題を熱く語る自称・お肌ピチピチの死神、さしすせそを熱く語るバカ殿もどき、誇り高き日本男児の関取雪だるま、若本規夫口調で話す謎の物体と、まともな奴が居ない(汗)。加えて、対戦前には主人公との掛け合いが展開されるのだが、設定が設定だけにぶっ飛び気味。主人公の困惑ぶりが嫌というほど伝わってくるものになっている。おまけに二回目以降の対決では、話す内容も変化するという謎のこだわり要素も仕込まれているという始末。 パッケージの印象だと、低年齢層向けな感じなのだけど、実際の中身は…ご覧の有様。その表面とのギャップに色んな意味で面食らう内容となってしまっている。どうしてこうなった。更に肝心のゲーム部分は元が名作なので、出来が良いという思わぬ有様。トレジャーモード自体も魔物の捕獲、宝物の回収、アイテム等の新要素はあれど、基本は昔ながらのクイックスで、変に元来のルールを弄らず、基本に忠実な作りになっている。 ただ、それ故に魔物の行動パターンが全員同一で個性を表現できてないと言った手抜きな所も。また、『トレジャーモード』はセーブと同時に残機が記録される為、ギリギリな状態で記録してしまうと、もの凄くシビアな戦いを強いられるなど、ゲームバランスに関しては厳しい評価を付けざるを得ない感じ。 しかし、それを吹っ飛ばすほどにネタ要素が濃く、遊び終えた時は「凄いゲームを遊んでしまった…」という謎の感動と充実感があった(笑)。 そんな事もあって、遊べば確実に”変な”記憶が刻み込まれる一本。意欲的な新要素とおかしな魔物達に出会えちゃう、唯一無二のクイックスだ。オリジナルのクイックスもカラーで遊べるので、そちら目的で買うのもあり。一本で二度美味しい、そしてあまりにも病的な怪作でございます。興味のある方はお試しあれ。
by box057
| 2016-08-13 23:00
| ゲーム感想 / 紹介
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