2016年 06月 04日
かくして、『逆転裁判6』発売の時が近付いてきた。 四月に『逆転裁判123 成歩堂セレクション』のダウンロード版を割引キャンペーンで購入し、(個人的に)12年ぶりにこのシリーズを遊び、その後も直近の新作である『5』まで、一気に駆け抜けたこの二ヶ月。『逆転検事』シリーズ、『レイトンVS逆転裁判』、『大逆転裁判』に関しては遊べずに終わったけど(検事シリーズは夏に旧作漁りが実施できたら探してみる予定)、ナンバリングの方は全部遊び切ったという事で、新作を出迎える前に、ここで五作全ての感想と振り返りを書いておこうと思う。 ■逆転裁判 シリーズ第一作。個人的には唯一、オリジナルのゲームボーイアドバンス版(と言っても、後に出た廉価版)を所持している作品。今回の3DS版『成歩堂セレクション』で、当時から実に12年ぶりに再プレイした。 GBA版を遊んだ時も思ったが、相手の証言の矛盾を突き、依頼人の無実を証明していく独特のシステムと構成が光る法廷パート、法廷パートで必要な証拠品や証言を探し出す懐かしのコマンド選択型アドベンチャースタイルの探偵パート、個性的過ぎるキャラクター、キレのある台詞回し、仰々しくも爽快な演出(特に効果音)が実に秀逸。この時点でシリーズの基礎とも言える部分は完成されており、設定は特異ながら、プレイヤーに本格的な推理が要求されてくる展開とその遊び応えのあるゲームバランスは、十数年という時を経ても色褪せない魅力と面白さがあった。 あと、後のシリーズ全てを遊んで思うのが、シナリオごとのボリュームのバランスの良さと音楽。短めながら、逆転裁判というゲームの魅力を徹底的に注ぎ込んだ一話、少しずつスケールが大きくなっていく二話以降のシナリオなど、全体的な起伏の付け方はシリーズの中でも随一のものがあったように思う。音楽も後のシリーズの定番楽曲『追求』も、今作が最も臨場感、緊迫感に秀でてた印象。あの証人に対して切り込んだ後、更に追い込んで攻め落とす気持ちよさは、今作の音楽が優れているからこその賜物だと思う。 最後にプレイしたのがワリと昔だった為、一部の謎解きと証言の矛盾指摘で詰まる事もあったけど、特に煩わしさを覚える事も無く、楽しい気持ちを維持したまま遊び通せたのも、改めて今作の完成度の高さを思い知らされた次第。地味な場面であってもプレイヤーを楽しませる為にギャグを仕込んでくる所とか、つくづくエンターテインメント性を追求したアドベンチャーゲームだなと感じた。また、3DS版では四話の写真の矛盾点を指摘する場面など、オリジナル版でシビア過ぎた所が修正されるなど、より遊び易く再調整が行われてたのも好印象。あと、(3DS版の)2と3にもあるものだが、早送り機能も実装され、既読の台詞を読み飛ばせるようになったのも良い改良点だった。アドベンチャーゲームの世界に一石を投じた、革新的な一作だと再認識させられる、独自の遊び応えと面白さを兼ね備えた作品。久々に遊んでも十分過ぎるほどに面白くて爽快な傑作でした。 ちなみに、個人的なお気に入りのエピソードは一話と三話。前者は短めながら逆転裁判の醍醐味を存分に堪能できる内容、後者は特撮番組の撮影中に起きた殺人事件という奇抜さとオバチャンを始めとする登場人物の個性の濃さが印象的だった。 三話に関しては先日、アニメでも放送されたけど、オバチャン役の声優さんがハマり過ぎだった(笑)。何気にその声優さん御本人が逆転裁判シリーズの大ファンだったという所にもニヤリ。このツイートには思い入れの強さを感じました…。また、出てきて欲しいものです。2以降のエピソードもアニメ化するというのなら、希望はあるかな。 ■逆転裁判 蘇る逆転 ニンテンドーDSに移植された際に追加された五話に当たる作品。ここから先は、初代しか遊んだ事の無かった自分にとって未知の世界。 例によって、『成歩堂セレクション』で初プレイとなった。 DSのタッチスクリーン、マイク、そして3DCG、ムービーが活用できるようになったハード機能の向上を最大限に活用したギミックの数々が光る秀作。探偵パートの遊び応えを高め、推理ゲームとしての魅力を一層高める要素として見事に機能しており、新しい逆転裁判の形を提示するものになっていたのが面白かった。特に『カガク捜査』は後の4にも継承され、更なるパワーアップを遂げていたのが印象的。それ以外でも今作で提示された要素の数々が4では進化、発展を遂げていて、改めて(システム的に)シリーズの転換点になる作品でもあったんだなと、五作全てを遊んだ今は思う。 また、演出面でも、3Dを使えるようになったなりのパワーアップが施されてたのも印象的。オープニングデモはその象徴で、思わず何度も見たくなってしまう魅力に秀でてたように思う。内容自体は殺害の一部始終(?)を描いたものと、非常に物騒なものだが(汗)、以降のシリーズの中でも最高の出来だったように思う。 シナリオに関しては、全シリーズ史上最大のボリューム。それ故に終盤になるとダレるほか、真犯人が過去に何故、とある事を仕出かすに至ったかの経緯が語られないなど、粗も見受けられたのだけど、相変わらずの濃過ぎるキャラクター達と予想外の展開の数々で楽しませてくれるエピソードだった。特に警察局での事件が発覚して以降の盛り上がりが凄かったし、台詞の一句一句まで伏線にした構成には素直に驚かされた。登場キャラクターも生まれる時代と国を間違えているとしか言い様がない罪門巡査が大変面白かった。あと、原灰巡査。まさか後の4でヒロインの茜に続く形で出てくるとはねぇ…。 そんな具合に一体、このシステムを継承したという4はどんな出来になっているのかと、総じて同作への関心を一層強くした良作だった。けど、巷で言われている事は本当だったんだなと、後で遊んで痛感させられるのだった。(後述) ■逆転裁判2 シリーズ第二弾。例によって、成歩堂セレクションにて初プレイ。 前作では五回、間違った指摘を行ってしまうとゲームオーバーになるペナルティ絡みのシステムがゲージ式に改められ、状況によってその度合いが変わる仕組みに変更、探偵パートにて『サイコ・ロック』なるイベントが追加、新たに人物も証拠の一つとして突き付けられるようになるなど、細かいシステムが改修。シナリオも一話から前後編構成になるなど、大幅なボリュームアップが図られた。 今作で感じたのは難易度の跳ね上がり。特にゲージが一発でゼロになってしまう、ミスが絶対に許されない場面の多さが引っかかった。このおかげにより、場面ごとの緊張感は劇的に増したけど、ゲームバランス的に正直、悪い意味でのカプコンらしさが出てしまったように思う。終盤の四話は最たる一例。ストーリー展開を考えれば、そのような場面が多いにも適切と言えなくもないが、用意するにしても本当にごく一部に留めるべきだったと思う。また、一話から前後編構成になるなど、ボリュームアップに伴う若干の冗長化も引っかかるものがあった。一話とか、あそこまで引き延ばす必要はあったのだろうか…。他にシナリオ上に違和感の残る箇所が幾つかあったり(一話のダイイングメッセージは最たる例)、トリックにもツッコミ所満載の類があるものが。全体を通して見ると、悪くは無いのだけど、少し行き過ぎた続編だな…というのが遊び終えての感想だった。 しかし、『サイコ・ロック』による探偵パートの遊び応えと密度の強化、四話のシリーズの御約束を逆手に取った驚きの展開など、素晴らしいと感じた箇所も沢山あった。台詞回しのキレと登場キャラクター達の濃さも相変わらずで、二話の真犯人、三話に登場したピエロのトミーはインパクト絶大だった(特にトミーはあの終盤の変わりっぷりが凄く良かった)。また、今回のライバル検事として登場し、成歩堂だけでなく裁判長にまで鞭を振るうという、暴力的過ぎる狩魔検事にも爆笑。それだけに、最後のエンディングで見せたあの表情は衝撃的でした。あれじゃ「ちゃん」付けで呼ばれるのも分かります、はい。 追求の曲が地味とか、まだ不満に感じた所はあるのだけど、エンディングを迎えた後の満足度は申し分無し。良くも悪くも、カプコンらしさに溢れた逆転裁判でした。 お気に入りのエピソードは、先のピエロのトミーが登場する三話。トリックに関してはツッコミ所満載だけど、登場人物達の濃さと法廷パート一日目の裁判長の台詞が面白く、非常に印象に残った。四話も今までにないタイプの構成で面白かった。まさか、あの人があんな格好で出てきて、光線銃を撃ちまくるだなんてねぇ…(笑)。 ■逆転裁判3 シリーズ第三弾。言うまでもなく、3DSの成歩堂セレクションにて初プレイ。 基本システムは前作を踏襲している為、新要素は皆無。ただ、エピソードが五話になり、5年前の過去を舞台にしたエピソードでは、成歩堂の師匠である綾里千尋となって法廷バトルに挑むなど、シナリオの構成はより入り組んだものに改められた。 今作に関してはただ一言。 ゴドー検事が素晴らし過ぎました。以上。 ……いや、本当に彼に全てを持っていかれた感じで、メチャクチャ面白かった(笑)。ゲームシステムは2と一緒な為、大きな変化に欠けたのが寂しく感じたけど、一発ミスになる場面の減少など、前作で問題のあったゲームバランスが大きく改良されてたのが好印象。そして、ストーリーの捻り方が見事。四話から最後の五話にかけての伏線回収は痛快の一言で、シリーズ総決算というに相応しい仕上がりになっていて、凄く面白かった。終盤だけでなく、その前のストーリーにしても一話の内で二度も事件が起きるなど、捻りを効かせた構成になってたのが秀逸。おまけに二話と三話に関しては、ゴドー検事に負けずとも劣らぬ超強烈なキャラクターが暴れ回る内容というのもあって、嫌というほど記憶に残った(笑)。漢字検定一級持ちじゃないと読めないような台詞を放つ名探偵、全キャラ(但し、ゴドーだけを除く)ビビりまくりのニセ成歩堂、破滅的な腕前のフレンチシェフとか、よくこんなキャラを思い付いたな…と(汗)。特にあの名探偵は台詞も含めて反則でしょう…。ニセ成歩堂も見た目がまさにカプコンというか、何処となく殺意の波動に目覚めそうな雰囲気を放ってたのが凄かった(笑)。そんなキャラクターばかりが出てくるというのもあってか、全体的な濃さはここまでのシリーズはおろか、後の4と5を含めた中でも屈指だったように思う。 実際に今作は巷でもシリーズ最高傑作と称されているけど、それも大いに納得。音楽に関しても、追求の曲は初代に匹敵するほどに熱く、追い詰める際の盛り上がりはかなりのものでした。演出、特にデモシーン全般も(遊んだのは3DS版だったけど)ゲームボーイアドバンスの性能をフル活用したかのような作り込みが成されているなど、製作スタッフのこだわりをヒシヒシと感じさせられた。 シナリオの作り込みから全体の構成の上手さまで、非常に高いクオリティを誇るシリーズ随一の傑作。願わくば、もっとゴドー検事の活躍を見てみたかった所であります…。 お気に入りエピソードは二話と三話。歴代の中でもベスト1と2に食い込むエピソード。最後の五話も良いけど、あの濃いキャラクター達を見せられてしまっては…(汗)。特に二話はいつか、時間ができたら再プレイしたいと思っております。 ■逆転裁判4 新章開廷を謳ったシリーズ第四弾。成歩堂セレクションで1~3を遊び、それ以降のシリーズも遊んでみたいという事で、後の5とセットで購入した。ゲームシステムは過去作をベースにしつつ、『蘇る逆転』の『カガク捜査』を大幅にパワーアップさせて収録。更に証人の癖を見抜いて新たな真実を浮かび上がらせる『みぬく』も新規に追加。ストーリーも3から7年後の未来になり、主人公も成歩堂から変わって王泥喜法介に変更。まさに逆転裁判シリーズの新たな門出を切った作品となっている。 ……のだけど、シナリオがビックリするほど酷い。というか、完全に破たんしてしまっている。それまでの1~3もある程度、ツッコミ所がありはしたが、今作の場合は限度を超えてしまっており、三話以降は話の流れが不自然過ぎるエピソードのオンパレード。登場人物達も旧作に出演した面々は軒並み改悪、新たな面子も常識に欠けた者ばかりなど(特に一話の被害者は吐き気を催すほどに酷い)、プレイヤーの不快感と失望を煽るものばかり。冗談抜きに歴代最低のシナリオと言われても致し方が無い出来だった。 システム周りも粗が多い。特に『みぬく』はその仕組みと流れからして、もはや言いがかりをつける行為も同然。演出、使用の場面に関しても違和感が強いほか、一箇所、異様に難しい対象もあったりするなど、イマイチ洗練されて無くて面白くなかった。ただ、『蘇る逆転』から継承されたカガク捜査は順当にパワーアップ。三話にて登場するミキサーを使った音楽検証も、シリーズの推理をする面白さを引き立てる新要素として良い存在感を放っていた。あまりにもロックマン過ぎる曲調が引っかかったが(というか、本当に作曲者がロックマンシリーズの人で笑った)、音楽も悪くは無かったように思う。 けど、遊び終えた後の満足度は低い。過去三作は、クリアし終えた後に強烈な満足感と達成感があったけど、今作はそれ以上に「やっと終わった」という虚しさが勝った。これも全てはシナリオの出来の悪さと一部登場人物の不快さが原因としか言い様がない。そして、世間で今作が糾弾されるのも、これじゃあ仕方がない納得するほど、面白味に欠ける逆転裁判だった。駄作じゃないけど、ガッカリゲーという評価がこの上なく似合う。それなりに光る要素もあったのに、イマイチ磨けて無かったのから察するに、製作時間が限られてたのか。どうも三話以降の荒れっぷりを見ると、それを邪推してしまう。 こんな有様なので、今作にお気に入りのエピソードは無い。強いて言うなら二話。全く別の所で起きた事件が一つに繋がっていくという流れは純粋に楽しかった。登場人物も『あ●しンち』が脳裏を過ぎるお母様、ラーメン屋のおじさん、インテリ(?)大学生と総じて逆転裁判らしさ全開だった印象。それだけにあの天邪鬼な被告人が惜しまれる…。 ■逆転裁判5 シリーズ第五弾。生みの親の巧舟氏がスタッフから外れ、『逆転検事』シリーズのスタッフが中心となって製作された作品。主人公は弁護士に復帰した成歩堂に戻されたが、二人目の主人公として王泥喜も登場し、更にその後輩兼三人目の主人公として希月心音が登場。ゲーム周りもハードが3DSに移行されたことでグラフィックがフル3Dになったほか、『ココロスコープ』、『カンガエルート』等の新システムが追加。更にチャプター選択機能、バックログなども実装され、快適性周りに関しても大幅な刷新が図られた。 巧氏未参加の反動で、若干、台詞、演出のテンポが悪くなりはしたが、前作ほど酷い破綻も無い、逆転裁判らしいシナリオで楽しませてくれる内容へと回帰。不快な気分になる事も無く、楽しい気持ちを維持したまま最後まで遊べた。登場人物にも前作のような不快感を抱くような面子は居なくなったほか、前作で主人公を務めながら、活躍の場を他の脇役達に取られ、散々な目に遭わされていた王泥喜も前作以上に主人公キャラクターとしての存在感を発揮。心音の先輩としても素晴らしい立ち回りを見せるなど、名実共に(前作の四話より)『逆転を継ぐ者』としての本領を見せてくれたのが印象深い。また、前作でやさぐれてた成歩堂もその面影を残しつつ、1~3の頃の熱さを取り戻し、二人の部下を抱える上司としての活躍をするように。全体的に三人の弁護士の絆を主眼に置いたシナリオで、最後の最後までそのスタンスを貫き通した作りが見事。前作の軌道修正を図った作品として、綺麗にまとまった仕上がりになっていたのが凄く良かった。 システム周りも前作の『みぬく』が探偵パートに回され、適切なポジションに落ち着く形に。心理状態から矛盾と真相を探り出す『ココロスコープ』も上手く設定を付けて法廷バトルの一要素に組み込むなど、そつなくまとまっている。3Dに描き直されたグラフィックも真犯人の豹変及び撃退シーンなど、異様に気合の入った作りになってたのが印象的。ボリュームもシリーズ屈指で、ダウンロードコンテンツを含めれば歴代最大。それでも、シナリオによって展開とボリュームに工夫を凝らすなど、あまりダレさせないようにする作り込みが成されてたのが見事だった。 とは言え、探偵パートの一本道化と調べるコマンドの制限、難易度の行き過ぎた軟化は痛い。シナリオも所々に致命レベルの突っ込み所があるほか、キャラクターにも一部、酷い設定が。詳細はネタバレになるので伏せるが、シナリオライターの性格の悪さを大いに思い知らされること必至。おかげで自分は強烈なトラウマを植え付けられました…。 ただ、出来自体は前作よりはいい。1~3には及ばない感じだが、良作だと断言できる。このスタッフは新作の6も製作しているとの事で、今作を上回るものを作り出してくれる事に期待。でも、終盤のサプライズみたいなたちの悪いものは勘弁な…。 お気に入りのエピソードは三話。個人的に歴代ベスト3。 それまでのシリーズにないシチュエーションと衝撃の告白に次ぐ告白で翻弄させられた。あと、豹変した真犯人が(イイ意味で)酷過ぎ。ダメでしょ、無罪じゃ! ……という具合に駆け足で五作を振り返ってみた。 やっぱり、一番面白かったのはお気に入りエピソードの多さで3ですな。 ただ、初代も全体的なバランスの良さ、次の2に関しても三話と四話のシナリオの見せ方、蘇る逆転と4はカガク捜査を始めとするDSのインターフェースを活用したギミックの数々、5は大爆笑の三話と優れたシステム周りなど、どの作品にも印象的なものは沢山あった。中には4の某人物のように、悪い意味で印象に残るものもあったが…。 そんなこんなで、来週に発売となる6。 一体、今度はどんな逆転劇が繰り広げられるのか。 楽しみに待ちたいところです。
by box057
| 2016-06-04 22:31
| ゲーム感想 / 紹介
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