2018年 09月 01日
昨年末、販売元のDevolver Digitalが発表し、架け橋ゲームズが日本語ローカライズを担当するとの追加情報もあったことから楽しみにしていたアクションアドベンチャー『Crossing Souls(クロッシング・ソウルズ)』。 ◆Crossing Souls(PlayStation Store:商品&購入ページ) ◆Steam:Crossing Souls(Steam:ストアページ) ◆Nintendo Switch|ダウンロード購入|Crossing Souls(任天堂:商品&購入ページ) 先日にはニンテンドースイッチ版もリリースされた本作だけど、自分は2月に発売されたプレイステーション4版を購入し、比較的最近になってエンディングを迎えた。 五人の少年・少女達を使い分け、仕掛けを解いたり、敵と戦ったりしていくプレイスタイルに、スーパーファミコン末期の傑作アクションアドベンチャー『マーヴェラス もうひとつの宝島』が脳裏を過ぎったけど、蓋を開けてみるとむしろ、アクションゲームにフォーカスした作りになっていて、思った以上に歯応え抜群だった。 特にフィールドマップの作りがもの凄くアクションゲーム寄り。小さな足場をジャンプで一つずつ渡っていくエリア、タイミングを合わせることが要求されるトラップ地帯など、随所で指先が物言うテクニックが要求されてくる。 始めて間もない頃はアクションアドベンチャーらしく、ストーリーに沿ってマップを歩いては住民と会話したり、行く手を阻む仕掛けを解いたり、敵との戦闘する展開が中心になる。けど、その終わり辺りから「ミニゲーム」という名のアクションゲーム色の強いイベントが差し込まれるようになり、以降、アドベンチャーの要素は段階的に薄くなっていく。 完全に無くなる訳ではなく、中盤辺りに住民の聞き込みを繰り返し、真相を探るイベントがある。けど、他はもう、アクションに次ぐアクション。 パトカーの追跡から逃げる『ゲキヤバランナー』的「ラン&ジャンプ」、ゼロヨンチャンプな一直線レース、挙句の果てには画面を覆い尽くす弾幕の嵐を回避し続けるシューティング追跡劇、『フ●イナル●ァイト』的ベルトスクロールバトルなど、途中からはアクションアドベンチャーを遊んでいるという手応えが完全に無くなっていた。 ボス戦も最初の方には謎解き、記憶力勝負な特殊なタイプがあるけど、残りは純然たるアクション。仲間の切り替え、敵の攻撃を見切る判断力が求められる、本格的な戦闘が繰り広げられる。ボス自身と戦わない特殊なケースもあるけど、そこでもシビアなジャンプアクションの連続で、気の休まる暇無し。 それもあって、エンディングを迎えた頃には「思った以上にアクションゲームだった…」という感想に至ったほどだった。 実際、システム周りもRPG要素は少なめで、強いて言うなら序盤での仲間が増えていく展開と隠されたアイテムを探し出す要素程度。レベルの概念とステータスの上昇は無く、最初のステータスのまま終盤のダンジョンやら、ボス戦やらをこなすことになる。なので、本当にアクションゲームが苦手な人が遊べば、強烈なしっぺ返しに遭う。どこかしらで心が圧し折られる。「間違ってもこれをゼルダやマーヴェラス、そして古今東西のアクションRPGが好きな人に推しちゃいけない!」と思ったのは言うまでもない。更に詳細は伏せるけど、プレイヤー自身が進む度に強くなるどころか、弱くなっていく仕掛けも凝らされているので…。正直、えげつないことをするなと思った。ストーリー的にも。 そのストーリーも1980年代を舞台にした少年少女の冒険活劇という感じだけど、見た目以上に重い。終始、シリアスという訳ではなく、独特のジョークが挟まれるなど、愉快なイベントも沢山用意されている。ただ、本編のキーとなるのが、エジプト神話で「冥界」を意味する「ドゥアト」の石(ドゥアトストーン)という事で……お察しください。 ▲ストーンの力を宿したマシンがあれば、死者の世界が見れる。それすなわち… ストーリー自体は面白く、エンディングは演出も相まって結構、印象深いものになっている。ただ、時代設定があまり意味を成していない……ただの添え物となってしまっていて、そこに期待すると肩透かしを喰らうところも。中盤以降には強引な展開も目立つほか、先のプレイヤー自身が弱くなっていく”きっかけ”も、むしろプレイヤーのできることを制限する要素になってしまっていて、あまりいい印象を抱けなかった。むしろ、(ネタバレになるからボカしながら書くけど)元のゲームの売りを否定しているような気も…。 ローカライズに関しても、本作に限っては担当された架け橋ゲームズに苦言を呈したくなる出来。特に改行調整が甘い。台詞が変な所で区切られる場面が頻繁にある所為で、読み難かった。テキストの翻訳は概ね問題ないのに、肝心の改行調整がこれとか、台無しも甚だしい。これでゴーサインを出してしまったのは腑に落ちない。割とこの辺はしっかりやる印象があっただけに、らしくないなと思ってしまった。 更にローカライズ絡みでは終盤、ストーリーの重要な背景がフルボイス(英語)で語られるムービーシーンに日本語字幕が無いという、深刻な難点があるのだけど、これに関しては不具合の可能性が浮上しているので、しばらく様子見。もし、何らかの問題で字幕が出ない状態になってしまっているのなら、アップデートで対処して欲しいと思う。 ただ、これはPS4版の話で、スイッチ版がどうなっているかは謎だけど…。 もし、そのままだとしたら、普通に入れ忘れなのかも。 他に不満を感じた点としてはセーブ。ポイント方式なのだけど、三つあるスロットの表示が共通で、どれが自分が記録したものなのか見分けが付かないのは不親切すぎる。選択したカーソルも記録されないし、それぐらいは最低限やるべきでしょうに。それが無理なら、「★」みたいなサインを付けるなりして欲しかった。 あとはアクションゲーム全開過ぎる終盤の難易度、エンディングの締めか。締めは人によって苦々しい締め括りに見えてしまうと思う。演出はそれなりに凝っているけど、ややキツいことが描かれるので。流れ自体は全く不自然ではないのだけど、不満に感じるケースも出るだろうなとか、見ていて思ってしまった。 総じて、良くも悪くも「思っていたのと違う」なゲーム。悪いゲームでは断じてなく、良作・佳作の評価は付けられる出来。鮮やかなドット絵で彩られたグラフィックと80年代風の音楽、起伏のあり過ぎる本編構成、程よく軽快な操作性、そして五人の少年少女達を使い分ける楽しさなど、終始、飽きずに楽しめたゲームではあった。 けど、かなり好みが分かれる作り。特に『マーヴェラス もうひとつの宝島』や『ゼルダの伝説』のようなアクションアドベンチャー、『聖剣伝説』チックなアクションRPGを期待して買うと、強烈なしっぺ返しを喰らうので、もし、そのイメージを持った上で買うなら、一旦、事前に入念な情報収集を行い、その上で判断することをお薦めする。 逆にアクションゲームが得意、好きであれば突撃して大丈夫。ただ、見た目以上に難易度は歯応え抜群なので、そこは念頭に入れておくことを推奨します。また、プレイステーション4版を選ぶならアップデートは忘れずに。発売後にミニゲームの難易度を緩和するパッチが何度か配布されているので、適用しておくことを強くお薦めします。 さもなくばドゥアトの脅威を目にする……かも。 更なる余談として本作、『アサシンクリードオリジンズ』でエジプトの歴史を知っておくと、ストーリーがより楽しめます。ソフトをお持ちであるなら、お試しを。
by box057
| 2018-09-01 18:35
| ゲーム感想 / 紹介
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