2017年 05月 27日
インティ・クリエイツは初代『ロックマンゼロ』の頃より、良質なアクションゲームを作ってくれる開発会社として、個人的に一定の信頼を置いている。しかしながら、ここが作るゲームで、どうしても厳しい目で見てしまうものがある。探索型アクションだ。 そのようになった発端は、2006年に先のロックマンゼロシリーズの後継作としてニンテンドーDSで発売された『ロックマンゼクス』。シリーズ初の探索型2Dアクションにジャンルを刷新した今作は、操作感こそロクゼロ由来の気持ちよさがあれど、探索型アクションゲームとしての作りは落第点を付けざるを得ないものだった。ロックマンシリーズのステージ構成、システムを探索型の枠組みに何ら最適化を施さずはめ込み、無駄に窮屈で、手数を踏ませるようにした面白味の無いマップデザイン、プレイヤーに喧嘩を売っているに等しい使い勝手最悪の全体マップ確認機能、クエストの煩わしさなど、ジャンルを刷新したなりの工夫がまるで無し。探索型アクションの醍醐味を何ら分かってない人が作ったも同然な、配慮に欠けた仕上がりで、強烈な不快感を覚えた。他にゲームバランスの酷さ(特に終盤のボスラッシュは歴代ロックマンシリーズ史上、最低最悪の構成だと今なお思ってやまない)とかも起因しているのだけど、それは置いておくとして。 次作『ロックマンゼクスアドベント』でもマップデザインの酷さは変わらず、新要素の変身アクションをほぼ「やらせ」として強要するように地形を構成するなど、進歩を感じられない作りで幻滅。結果、自分の中では「インティ・クリエイツ=探索型アクションの制作が下手(&センスがズレてる)」という印象が確立され、以来、ここが作るその手のゲームには用心しようという警戒心、疑念を持つようになった。 だから、同じく探索型アクションの『超惑星戦記メタファイト』のリメイクこと今作『ブラスターマスターゼロ』の制作を担当すると聞いた時は正直、不安を感じた。同じことは悪魔城ドラキュラシリーズの元プロデューサー・IGAこと五十嵐孝司氏の新作『Bloodstained: Ritual of the Night』の制作を担当すると発表された時も思ったのだけど、これはまだ発売されてないゲームで、全容もはっきりしてないから置いておくとして。 『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』と発売日が重なってしまった為、購入は2ヵ月遅れとなったけど、とりあえず先日、真のエンディング到達まで終わらせた。 率直に言って、アクションゲームとしては良作と言える出来だった。しかし、やっぱりというか…探索型アクションゲームとしてはイマイチな出来。今後も同社が作るこのジャンルの作品に対しては、厳しい目で見るのが確約された感じだった。 でも、先に挙げた二作からの進歩は感じられた。 特にマップデザインはどのエリアも自然なショートカットを設け、再度、同じエリアを訪れた際の手間を省くようにするなど、探索型らしい配慮と達成感を味わえるものになっていた。地形の構造、敵とトラップ配置などもソツなくまとまっていて、ジャンル特有の面白い所はちゃんと押さえていたと思う。原作であるメタファイトの構成をほぼなぞっているとのことなので、出来の良さはそれ由来の線もあるが。 ただ、これは明らかに今作独自の味付けであろう、エリアごとの個性付け、差別化は好印象。仕掛け、ダンジョン内の構造、イベント、ボス戦と、どれもが工夫を凝らしたものに完成されていて、「この先、どんな展開が待っているのか?」という期待を維持しながら最終決戦まで進めていくことができた。基本、本編はエリア全体とそこに点在するダンジョンの探索に終始するけど、それが単調にならないよう、様々なアイディアを注ぎ込み、プレイヤーをダレさせないようにしているところには大いに唸らされた。 全体的な難易度のバランスもいい塩梅で、やり方によっては容易にゴリ押しできちゃうのが痛快。ダンジョン探索でガンレベルを上げ、最強装備の「ウェーブ」で行く手を阻む敵達を掃除していくのとか、結構な爽快感があり、癖になる面白さがあった。かと言って終始、そんな調子で進めて行ける訳ではなく、場面によっては別の装備で戦う必要性を出すなど、手ごわいところはちゃんと手ごわくする配慮も万全。その辺の緩急の付け方はインティさんらしいというか、上手くまとまっていたと思う。他に操作性も良好だし、音楽もこれぞゲームミュージックな楽曲揃い。グラフィックも色数の少なさを活かしたドット絵が素晴らしく、この種の描写には手慣れているが故の職人技が炸裂していた。ストーリーも王道一直線の内容で、真エンドルートにおける最終決戦はシチュエーション、演出共に申し分無し。イベントの長さも適切で、テンポを大事にしていたのも良かった。 そんな具合に普通に良作と言える水準には達しているのだけど、探索型アクションとしての作りには相当に不満が残った。進歩はしているけど、やっぱりゼクスの頃から変わっていない、ツボの押さえ方がズレてるな…と。 中でも、無駄に手数を踏ませる所がまるで変わってなかったのにガッカリ。エリアごとにショートカットは設けても、エリアの一部を大幅に跨げるようなショートカット、ワープポイントは無く、取り漏らしたアイテムを回収する際、「エリア1→エリア2→エリア3」と順序通りに巡っていかなければならないのが非常に煩わしかった。一応、エリア4からエリア6、最終エリアはエリア1などから連なる別ルートとしてまとめられているので、エリア1の取り漏らしを回収するのにエリア6からエリア5、エリア4と順に下ってく…みたいな展開にはならないけど、それでも無駄に手数を踏まされている感は否めず、配慮の甘さを感じた。 この構成は原作でも同じなので、それを忠実になぞった結果なのだろうけど、ワープポイントぐらい用意しても良かったのでは。取り漏らしたマップ、アイテムなどを回収する時とか、やっていて「何でこうも順に下っていかなければならないのか」と、愚痴をこぼしたくなるぐらいに面白さを感じられなかったので、ここは原作をなぞる必然性は無かったようにと思う。というか、快適に探索できるようにするべきだった。仮にもリメイク作品であるというのに何故、遊び難さを際立たせる箇所の改善を図らなかったのか…。 あと、ストレスを感じたのがエリアの全体マップ確認画面。装備切り替え画面との混同な為、確認を行う度にLRボタンを押す手間が生じるインターフェース周りの煩わしさもさることながら、そこで見れるマップは現在、滞在しているエリアだけで、他のエリアのマップを確認したければ、そこまで直接、足を運ばなければならないって、幾ら何でも前時代的過ぎる。『スーパーメトロイド(ついでにメトロイドフュージョン)』かよ。せめてそこは『メトロイドゼロミッション』みたいにしておこうよ。しかも今作の場合、先のエリア間の繋がりと移動の煩わしさもあって、確認できるようになるまで結構な時間がかかるから、要らぬストレスも生じさせている。最近の探索型アクションじゃ、別エリアに居ても他のエリアのマップがチェックできるのはごく当たり前のようなものになっているのに(メトロイドだって、ゼロミッション以降はそうなっている)、なんで今作はそうも前時代的な仕様にしてしまったのか。それがレトロテイストにする狙いがあるのだとしても、このやり方は間違っているとしか言い様がない。それに別にこういう作りであっても、ワープポイントさえあればストレスをある程度、緩和できたと思うのに、そんなものは先の通りに一切無いし。全く持って、配慮が甘い。「まるで成長してない…」と言いたくなる。 そして、エンディング分岐。具体的にはその条件だけど、隠されたアイテム全てを探し出すやり込みを強要させるのが酷い。少しネタバレしてしまうけど、主人公の体力の最大値を上げるアイテムまでその対象とか、探索型アクションの醍醐味たる、収集のやり込み全否定も甚だしい。そのアイテムをどれだけ集められたかでゲームの難易度が上がったり、下がったりするから面白いんじゃないか。それがやり込みの幅を広げ、周回プレイへの意欲をかき立ててくれるんじゃないか。「次は全回収を目指そう」、「回収せずにエンディングまで行ってみよう」…という感じに。それを全部取らなきゃベストなエンディングは見れない、本当のラスボスと戦えない?ふざけるな。何でそんな楽しみを奪う真似をする。というか、「俺(制作者)の言う通りにしろ」と強要するようなものじゃないか。おまけにこの本当のラスボスもラスボスで、戦闘途中にあるチェックポイントを踏んだら、他のエリアの探索は何一つ行えなくなる(ラスボス戦しかできなくなる)という罠まで仕込んでいるし。探索型を名乗るなら、そういう要素は除外するものでしょうが。まあ、同じ罠は先の『スーパーメトロイド』にもあったから、(無理矢理)そのオマージュと見て取れるけど。 それにエンディングの分岐自体も探索型ドラキュラシリーズでお馴染みのものではある。なので、そう言った要素を入れる事自体は特に異議はない。 けど、基本的にドラキュラにおいて、全アイテムの回収は強要されなかったし、制限プレイの余地も残るように作られていた。ラスボスだって、低ステータスでの挑戦ができたぐらいだ。対し、今作はそんな余地も残らず終わってしまう。ラスボス戦においても、制限プレイで挑める遊びの余地は微塵もない。絶対に最強状態で挑むことになる作りなので、どう足掻いても無理。これは本当に探索型の醍醐味全否定も良いところだし、遊びの幅を狭める最悪なやり方だと思った。というか、なんで体力の最大値を上げるアイテムの回収まで条件にしたのか。それが本当に余計だったと思う。対象外なら、遊びの幅も広がり、ラスボス戦が奥深いものになってただろうに。クリア後にやる事が無くなる点もそうだけど(※二周目、別モードなどの選択肢はあるけど)、ここまで窮屈な作りにして探索型を公称するとか矛盾も良いところ。もっとジャンル特有の自由度と遊びの幅の広さを意識した分岐条件にして欲しかった。そういう所を理解せず、こんな構成にしている所には呆れたし、やっぱりこのメーカー、ツボの押さえ方がおかしい…と思ってしまった。 他にも一部、何のアイテムも用意されてない「ハズレダンジョン」の存在も、プレイ時間の水増しでしかなくて苛立ちを覚えた。これも原作由来の仕掛けだけど、全く持って面白さに繋がってなかったから、切り落とすのが賢明だっただろうに、あえて残した判断が分からない…。細かいところだけど、体力とSP(※サブウェポンなどを使う際に消費するエネルギー)を全快する装置がないのも、SPが結構な頻度で尽きる今作ではマイナスだったように思う。というか、原作には無いサブウェポンの存在が、ホバーや二段ジャンプと言ったアクションの使用を制限する足かせ(SPが枯渇し易い要因)になっている時点で、おかしい。なんでそんな探索のテンポを悪くする要素を入れたのか。入れるなりにホバー、二段ジャンプのアクションにおいてはSPを消費しないようにする解決策を仕込まなかったのか…。もし、問題ないとでも思ってそうしたのなら、検証甘過ぎだ。 こう言った不備の多さ、ズレた作りもあって、個人的に探索型アクションとしてイマイチという評価に終わってしまった。良いところも多いし、過去に手掛けた作品に比べたらマップデザインは格段に進歩しているけど、やっぱりどこかズレてる。無駄に手数を踏ませないようにする努力も感じられない。結局、これからも同社が作る探索型アクションには信用が置けない、色眼鏡は外せない…という気持ちを自分の中で新たにしただけだった。 最近だとガンヴォルトがそうだけど、ステージクリア型なら盤石なんだけどな…。なんで探索型だと、こんなにも見過ごせないレベルの粗を出してしまうのだろう。 こんな調子では『BloodStained』も心配だ。 制作の指揮を取るのが、この手のジャンルの制作に長けたIGAさんなのに加え、先日に制作体制の見直しが実施されたから、それなりの完成度は期待できそうに見えるけど…今作を経験してしまった今では、変な方向に先走らないかという不安が付きまとう。せめて無駄に手数を踏ませる悪癖だけは発揮しないでくれ…。それだけは強く望みたい。
by box057
| 2017-05-27 23:20
| ゲーム感想 / 紹介
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