2016年 05月 28日
実はメトロイド系の探索型アクションというのを聞き、先月、衝動買いに至った3DSの『Ninja Smasher!(ニンジャスマッシャー)』。 一通りクリアしたけど、思った以上に良質な探索型アクションゲームでした。 ■斬って斬って斬りまくる、レトロな探索型アクション 基本的な内容は横スクロールで展開する、探索型アクションゲーム。主人公の忍者を操作し、妖怪軍団の親玉『キングテング』に誘拐されたお姫様を救出すべく、広大なフィールドを探索して自らの能力を強化し、キングテングが待ち受ける城への突入を目指す。 一口にゲームシステムについて言ってしまうと、ほぼメトロイド。同じく探索型アクションの悪魔城ドラキュラシリーズ(月下の夜想曲以降のシリーズ)のような経験値によるレベルアップシステムも無く、能力強化はアクション、体力ゲージの拡張程度に留められているなど、アクション重視の設計になっている。 ただ、厳密にはメトロイドというより、『ゼルダの伝説』のカラーが濃い目。特に能力強化に必要なアクションを手に入れるに当たって、ダンジョンを攻略していかなければならないところとかはモロ。更に、敵を倒す事によってお金が手に入り、それを消費してマップ上の各地に配置された御店でアイテムを購入できると言った要素もある。なので、横スクロール版ゼルダの伝説というのが正しいかもしれない。 独自の要素としてはコンボ技。忍者の基本攻撃は刀による斬撃だが、これの当たり判定が広めに設定されており、倒した敵の近くに別の敵が居れば、そのまま斬撃を繰り出してコンボを繋げる事ができる。上手くコントロールできれば、地に足を着けず、宙を舞いながら進む事も可能。しかも、道中にはこのコンボを繋げていかないとノーダメージで進めない場面(酷いとゲームオーバーに繋がる)も用意されている。技自体は突飛も無い正統派だけど、繋げ易さを作る事によって、独自の爽快感と動かす楽しさを演出。今作ならではの独特のテクニックが要されるアクションに仕上げられている。 また、今作は元はスマートフォンで販売されたタイトルで、そちらではタッチ操作で忍者を動かす仕組みだったのに対し、今作は十字キーとボタンで忍者を操作する。ちなみに十字キーで移動(スライドパッドは使えない)、Bボタンで斬撃、Aボタンでジャンプと、キーアサインはファミコンのゲームに準じたものになっている。また、ある条件を達成すると、スマホ版同様のタッチ操作で遊べるようにもなる。更に独自要素として、隠しキャラクター、二画面表示を活かしたマップ表示機能、実績システムなども実装。 これと言ってグラフィック周り等の見た目の面でのアレンジは無く、基本的にベタ移植ではあるが、物理キーを実装したハード特有のアレンジ、ボリュームの拡張が図られた仕上がりで、実質、パワーアップ版も同然の仕上がり。スマートフォン版を遊んだ事のあるプレイヤーでも、新鮮な気持ちで楽しめる内容になっている。 ■探索完全特化の痛快なゲーム本編 探索型アクションゲームとしてはかなりシンプルな作りをしている今作だが、出来は抜群に良い。特にテンポ重視の作りが爽快。昨今の探索型アクションでお約束のストーリー要素は皆無で、イベントデモすらテキストを使用せず、短い寸劇だけで済ませる作りなので、非常にサクサクと進む。しかも、そのデモ自体もオープニングとエンディング程度しかないという、徹底した割り切りっぷり。まさに初期のメトロイドシリーズをオマージュするかのような探索完全特化とも言える潔さで、同作を知る往年のプレイヤーなら、懐かしい手応えと探索アクションの醍醐味を味わえる仕上がりになっている。 優れたマップデザインも特色の一つ。何処に向かえなどのガイド機能は一切無いが、探索していく内に次に進むべきルートが分かってくるよう、意地悪にし過ぎず、優しくし過ぎずの慎重且つ、丁寧な設計が成されている。プレイヤーに無駄な手数を踏ませず、かと言って探索型ならではのフィールドを隅々まで調べ回り、道を発見していく面白さを損ねないバランスの取れた作りが見事。探索型アクションの伝統、新能力習得で行動範囲が広がる展開とその楽しさもバッチリで、ちゃんと入手後にはそのアクションでどんな事ができるかを実体験してもらうチュートリアルを兼ねたエリアを用意するなど、分かった構成になっているのも秀逸。そして、能力の習得タイミングも素晴らしく絶妙で、そろそろ手に入っても良い頃なのでは…と思い始めた頃、手に入るようになっている。 タイミングに関しては若干、個人差もあるけど、こう親切な機能は無くとも、無駄に右往左往する事も無く進めていける構成は絶妙。止め時を失ってしまうほど進めて行ってしまう面白さと中毒性が光るものに完成されている。 意地悪な謎解きが無く、徹底してアクション勝負な構成でまとめられているのも素敵。ダンジョン攻略ですら、何処もカギを集めてボス部屋を目指すという内容で統一しているほど。それ故にワンパターンさもあったりするが、地形と敵のバリエーション、要求されるテクニックの差異などでしっかりとダンジョンごとの攻略する楽しさを演出。決して、手を抜いている訳では無く、しっかり考え抜かれた作りになっているのがイイ。 そう言った作りをしているのもあり、初期のメトロイドシリーズが好きだった方には心底たまらない内容と言える。勿論、この手の探索型で最も熱いやり込み要素たる、タイムアタックも完備。それに関連した実績も用意されているほか、縮めようと思えば一気に縮められる余地をあちこちのマップで匂わせるなど、二周目以降のプレイ意欲を刺激する配慮も申し分無しだ。そして、そういう攻略を心掛けると途端に難易度が厳しめになるなど、狙ったなりのデメリットもバッチリ。その醍醐味をよく分かり切った作りには、かつて古き良き時代の探索型アクションをやり込んだ人なら、思わず唸ってしまうかもしれない。 ■己の実力で挑むのも、金に任せたゴリ押しで挑むのもオッケーなバランス ゲームバランスも優し過ぎず、難し過ぎずの絶妙な塩梅にまとめられている。難易度選択機能は無いのだが、どうしても倒せないボス、乗り越えられない敵だらけの難所に対しては、道中にあるお店で回復アイテムを買い溜めし、それを使った力押しで乗り切るなど、救済措置が豊富。アクションゲームの腕前に自信のある方は実力で乗り越え、得意でない方は金の力(…と言っていいのかどうか)で乗り越えるという、初心者から上級者まで幅広くフォローした設計が成されている。 コンボを繋げていく事を攻略のキモとする、今作の独自性を活かす為の調整の上手さも光る。敵を連続して切り刻み、コンボを繋げていくという仕組みから難しそうに感じてしまうが、忍者自身の攻撃範囲はかなり広く、ある程度敵との距離が開いていても攻撃が繋がるようになっているので、見た目以上に直感的に行っていける。それでいて、耐久力のある敵を混ぜたり、奇抜な攻撃を仕掛けてくる敵を配置するなど、コンボを決め易いからと言って安易に倒せるようにはせず、アクションゲームとしての困難を乗り越える為の措置に関してもしっかりと徹底するなど、きちんと独特の攻撃を使いこなす難しさと上達する事による楽しさも残し、バランスを取っている。 攻撃は当て易いけど、上手く繋げていくには適切な行動と敵の癖を見抜く事が重要と、簡単にコンボを繋げられるが故のヌルゲー化を絶妙に防止した作りは巧みの一言。独自の遊びを演出しつつ、アクションの楽しさと使いこなす難しさを描き切っているところもまた、今作の作り込み具合の深さがよく現れた箇所だ。 ■いつの時代のゲームかと突っ込みたくなるフレームレート しかし、やや行き過ぎたシチュエーションも。特に本編後半に会得する天井張り付きのアクションは、いささか難しくし過ぎている印象が否めない。その能力を会得した後のチュートリアルエリアもハード過ぎるなど、もうちょっと少ない手数で突破できるエリアにした方が良かったのではと、突っ込みたくなるまとめ方になってしまっていて惜しまれる。 また、ボス戦の調整も少しやっつけ気味な所があり、敵弾の数で難しさを演出した感じになっているのが寂しい。ファミコン風の探索型アクションゲーム、主に初代メトロイドなんかはボスの攻撃パターンも単調だったので、それを狙ってこうした可能性も考えられる為、一概に悪いとは言い切れないが、それでも気になってしまうところではある。 他にも遊んでいると、次のような引っかかる点が続々と出てきたりする。 ◇フレームレート ガクガク。今時の3Dのゲームでもこんなの見受けられないぞと思うぐらいに低く、大量のオブジェクトが表示されたり、高速アクションが展開されていく場面ではコマ切れな動きになってしまう。昔のパソコンのゲーム、或いはゲームボーイ版の『ストリートファイターII』かよと突っ込みたくなるレベル。元のスマホ版の時点でこうというのなら止む無いと思うところもあるけど、このガクガクさはアクションゲームとして相当に辛い欠点だから、できる事なら高いフレームレートを維持した作りにして欲しかった。一応、敵が大量に表示される&高速移動が発生しない場面なら、そこまでガクガクにならないのだが…。 ◇音量 音楽の音量が異様に小さく、効果音の音量がやけに大きい。 しかも、音楽はオプションで最大値に設定しても小さく、効果音の音量とのバランスが取れていない。さすがにこれは設定ミスかと疑ってしまうレベル。そんなライブやコンサート会場並にうるさくしろとまでは言わないけど、もう少し大きめの設定にして頂きたかった。些細な箇所ではあるのだが、あまりにも露骨。 個人的にはアップデート前の『地球防衛軍4(PS3版)』が脳裏を過ぎった…。 ▲これでも小さい…。 ◇操作性 キャラクターの挙動は概ね問題ないのだが、Aボタンでジャンプ、Bボタンで斬撃という操作性は3DSのキー配置の点から結構、混乱する。なお、キーコンフィングのオプションはなし。慣れれば問題ないが、コンフィングは入れておくべきだったと思う。 また、先の通りにスライドパッドは使えず、十字キーで動かす設計の為、旧3DS等でプレイすると、操作感的にぎこちなさが増すという厄介な所も。 また、クリア後に解禁されるタッチペン操作にしても、3DSのタッチスクリーンが感圧式である為、それなりに力を込めてタッチしないと動いてくれないのが地味に不便ではある。あと、セーブファイルも何もあそこまで用意しなくて良かった気がしてならない。 ■探索型アクションゲーム好きにイチオシの良作 フレームレート低下など、テストプレイの時点でヤバいと思わなかったのかなと疑問の残る欠点が散見されるが、これと言って致命的なバグ、ガクガクになってバランスが崩れる箇所は皆無なので、特に問題なく遊べる作りになっている。そして、探索型アクションゲームとしてのツボを見事に抑えたゲームデザインに優れたマップ構成、ゲームバランスなど、欠点を抱えながらも強烈に輝く要素も豊富。 レトロ全開なビジュアルに適したゲーム性勝負とも言える潔い内容で魅せる、侮り難き良作。メトロイドやドラキュラが好きな方には自信を持ってお薦めできる一本です。 値段も安いので、機会があったら是非。 マイニンテンドーのゴールドポイントは貰えませんけど…(ボソッ)。 ◆備考リンク ≫Ninja Smasher! | ニンテンドー3DS(任天堂:商品&購入ページ)
by box057
| 2016-05-28 20:56
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